連載 南島詩人一人舞台・3
旅する種
平田 大一
pp.172-173
発行日 1998年3月25日
Published Date 1998/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901790
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早朝六時四十三分。南の島はまだ暗い。全国的に今日も一日、寒いという。テレビでは、都会は大雪だと言っていた。―夢まで凍えなきゃいいのになぁ…と独り言を呟くと、僕はスクールバスのエンジンキーをオンにした。
株式会社コハマ交通。僕たちが昨年六月にオープンさせた小さな島のこの小さなバス会社は路線バス、スクールバス、島内観光、ホテルの送迎のすべてを、僕ら島の若い者七人でこなす、実質的なこの島の“足”だ。
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