特集 看護の国際協力と国際看護学
国際看護学の展望―これから何が求められるのか
戸塚 規子
1
1日本看護協会学会部
pp.1032-1035
発行日 1997年12月25日
Published Date 1997/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901742
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はじめに
本稿をすすめるにあたり,国際看護学に関する共通の概念や枠組みをもたないままに論ずるのは,はなはだ心許ないというのが筆者の本音である.しかし,明確な概念を与えられなくても,そうした言葉を使いながら,あるいは解釈しながら現実には看護の国際協力は行なわれており,国際保健医療協力の経験をもつ看護職も年々増加している1~4).それは,おそらく国際看護という言葉が常に状況(実践)と直接かかわりながら使われているために,定義にこだわらなくても理解できるし物事をすすめることが可能だからであろう.国際看護を明らかにしていく方法論を国際看護学と捉えるならば,個々の実践すなわち看護分野での国際協力の経験や知識を伝え,研究を重ねる中から国際看護学は構築されていくのではないかと考える.
本稿ではこうした現状認識のもとに,国際看護学の方向性,日本の看護にもたらすもの,看護教育における国際看護学の意義や位置づけについて,議論の素材として述べてみたい.
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