鏡下咡語
これからの医療に何を求めるべきか—頭頸部癌のターミナル・ケアを通して
形浦 昭克
1
1札幌医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.582-583
発行日 1988年7月20日
Published Date 1988/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200189
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私たちの大学病院は新棟となって久しく,はたして外装にあった内容ある医療がなされているであろうかと討論する機会をもった。各科の助教授,講師,婦長および副婦長の代表が集まり,種々の角度からその問題点がいくつか検討された。その集約された課題は末期癌患老のケア(ターミナル・ケア)を今後どのように考え対応するかが最も関心あるものとなった。確かに大学病院という特殊性から手術を中心とした集学的治療が主体となり,長期間入院する機会が少ないのではないかという意見も出されたが,今日の医学における教育の流れにおいて死に対する学問の分野が生み出されつつある中で,大学がその方針を打ち出すべき時ではなかろうかという大方の賛同が得られた。そんな医療の現場において,医師だけではなく,看護婦,検査技師および放射線技師など,コメディカルスタッフとのチームカンファレンスのもとにより患者中心の優れた医療ができるのではないかとその原点に立つことになった。そうして"医療を考える会"が発足した。
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