看護基礎教育改革への助走 看護技術の視点から基礎教育を見直す
第2部 基礎教育のもう1つの視点と可能性
学生をとりまく生活技術と看護技術
野村 明美
1
1横浜市立大学看護短期大学部
pp.934-940
発行日 1997年11月30日
Published Date 1997/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901726
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はじめに
子どもの遊びや文化の衰退とともに,子どもたちの心身の問題が指摘されて久しくなる.子どもにとって,遊びは「生活」そのものであるが,その遊びや文化の衰退は「生活」の変容を意味する.つまり「生活」が変わってしまったのである.その結果,体力の低下や骨折,語彙の少なさ,手や指先の不器用さ,緘黙,学習障害など心身の問題が浮かび上がり,深刻さを増しているのが現状ではないだろうか.
そのような中にあって,人間がその人らしく生きていくための日常的な営みの術である生活技術が子どもにどう伝承されていくのか,あるいはどう衰退していくのかということは,看護を考え実践していく上で重要な問題であると考える.それは不器用さのために,看護技術の修得に困難をきたすという問題も含むが,それを越えてはるかに重要なこと,感じる,伝える,反応する,表現するというような人間の存在に関わる問題に通じていると考えるからである.
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