特集 看護学生と喫煙の問題―教育プログラムから看護実践まで
禁煙指導における看護の役割―亀田クリニックの取り組み
三原 由美子
1
1亀田クリニック看護部
pp.426-431
発行日 1997年6月25日
Published Date 1997/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901627
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はじめに―禁煙外来を始めた理由
私たちは毎日多くのがん患者や心筋梗塞,脳梗塞,慢性呼吸不全などで苦しんでいる患者に接しています.患者はもちろん,家族の負担も大きく,私たち看護婦にとってもなす術がなく,ただ空しさが残ることもあります.これら多くの病気の原因の1つである「喫煙」については,すでに学生時代に一応知らされていたように思います.しかし,実際の臨床の場で患者の禁煙支援が積極的になされているかといえば,ほとんどされてきませんでした.
その理由の1つには,喫煙の本来の害についての知識が不足していることがあります.一般的に「たばこは害がある」とは知らされても,これまでの看護教育の中では「喫煙」が特別大きな課題として取り上げられてもいないし,日常生活指導項目として位置づけられてもいません.もう1つには,これまでの「看護」に患者指導とか患者教育という視点が一般的に薄く,教育されてこなかったように思います.一応患者に禁煙しましょうと伝えて,あとは患者の意志に任せる,禁煙できない患者は「なんて意志の弱い人だ」と結論づけ,そこには私たち看護者の責任はまったくないという傾向にあったように思います.まだまだ「看護」自体が自立していないということなのかもしれません.
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