連載 病床環境理解のための12の課題・22
入院生活における意識と行動
課題12:医療を受ける患者の心理(前編)
川口 孝泰
1
1兵庫県立看護大学
pp.76-78
発行日 1997年1月25日
Published Date 1997/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901551
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10月10日の朝日新聞の朝刊に,日本の終末期医療を研究しているスーザン・ロングさんが紹介された.ロングさんは,米国のジョン・キャロル大学の助教授(医療人類学)で,今春から大阪大学の客員研究員として日本の終末期医療の実態を調査している.これまでにもロングさんは,日本人のがん患者の告知の問題に関する研究をまとめ,患者たちが本当のことを知らされず,また本人も知ろうとしない特有の医療観を持っていることを指摘した論文を発表している.
ロングさんが指摘したような,日本人特有の受動的で消極的な病気に対する行動は,看護実践のなかでも常に問題となるところである.つまり看護実践においては,患者のセルフケアを促し,いかに患者の健康回復力,生命力を高められるような援助ができるかが専門的な看護の要となる.そのためには何よりも,患者自身が病気を自分の問題として能動的・積極的に取り組む姿勢を持つことが病気克服への前提条件となる.
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