特集 看護の大学教育の死角
他者に支配される教育への反省―地方がかかえる人材偏重の問題
千田 サダ子
1
1久留米大学医学部看護学科
pp.525-529
発行日 1996年7月25日
Published Date 1996/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901402
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はじめに
看護学の遅れは,看護学教育の遅れによるところが大きい.最近になってようやく社会構造の変化にもとづく看護の質への要求から,看護教育が大学化に向けて動き出した.国は1県1看護系大学を最低目標とした設置を急ぎ,その目標は達成しつつある.
しかしこの動きは,大学化への必要に鑑みた長期的展望に立っての,基本的なマスタープランにもとづいての設置なのであろうか.なぜ,そのような疑問を抱くかというと,地方大学を中心として全国的な看護教育者(特に教授)の人材不足という事態である.これは,事前の準備不足のまま,遅れに遅れた看護教育の大学化を一気に解決しようとする,大あわての見切り発車だったからではないか.そうとしか見えないのは,筆者1人の不見識なのだろうか.
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