特集 看護の大学教育の死角
臨床で輝いている看護者を教育に―教員の採用基準は学歴・論文が最優先でよいのか
杉本 正子
1
1東京都立医療技術短期大学
pp.530-533
発行日 1996年7月25日
Published Date 1996/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901403
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はじめに
ここ数年の看護系の新設大学ラッシュにおける看護教員の採用基準は,1に学歴,2に論文,そして3に現場経験といった感がある.いいかえれば看護教育に身をおく者にとっては,この3つがそろっていれば鬼に金棒だ.他の学問分野では,就職もままならないオーバードクターがあふれているというのに,看護の世界だけは別世界である.
筆者のところにも最近の不景気はどこへやら,新幹線通勤ならまだしも,飛行機で職場と家を往復しませんかという話も舞い込んでくる,ありがたい話であるが,異常な事態ではある.結果として看護の教授ポストを得るべく,看護以外の関連学問の分野でたくさんの論文をもった高学歴の人々が虎視眈眈としているとも聞く.そればかりか,そのために看護が好きというよりも,そのポストを得るために看護婦の資格をわざわざ得る道を選択することもあるという.
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