特集 POSの輪を広げよう―第17回日本POS医療学会報告
教育講演Ⅱ
患者を中心にしたチーム医療と自己管理
平田 幸正
1
1東京女子医科大学
pp.1018-1022
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901241
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はじめに
医学は,近代科学の中枢である自然科学の中でも,最も科学的であるといわれたこともありました.しかし医療の中では,心を持った人間同士が,共同の目的,すなわち患者のwell-beingという目的に向けて,時々刻々と変化する相手を意識して行動することになります.医療あるいは治療という場合,「患者を中心にした医療」とか,「チーム医療」「患者の自己管理」という言葉は,すでに当然であるといえましょう.
しかし,古い時代の中で,また近代においてさえ,医療までをも,自然科学そのものとして位置づけかねない考え方もあったことは事実です.かつて,私が医師になって間もなく,糖尿病患者を受け持ち,退院後の治療法に思い悩んでいた時,「医師の責任は,患者を眼前にした時のみであって,退院後の患者の治療行動に関わることはない」と注意されたことがありました.このような時代を生きた1人として,「患者を中心にした」という,今日の医療では当然ともいうべき言葉を伴ったテーマをいただいたのは感無量のものがあります.
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