プライマリ・ケアのリスクマネジメント3
中心静脈カテーテルの自己抜去
長野 展久
1
Nobuhisa Nagano
1
1東京海上日動メディカルサービス株式会社/東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科司法医学
pp.968-971
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101065
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医療の高度化に伴い,患者へはさまざまなチューブ,カテーテル類が挿入されるようになりました.たとえば,気管内挿管チューブ,中心静脈(central venous : CV)カテーテル,末梢静脈留置針,胃管チューブ,胃瘻チューブ,胸腔内ドレーン,腹腔内ドレーン,膀胱留置カテーテルなど,重症の患者であればあるほど,複数のチューブやカテーテルが必要となります.生命を維持するために挿入されたチューブやカテーテルは,何らかの理由で抜けてしまうと重大な事故に発展するので,とくに配慮が必要です.そのため医療現場では,普段から注意してチューブやカテーテルを管理し,観察のたびに固定部位や接続部分を確かめたり,不穏状態の患者には抑制帯を付けたり,鎮静薬を用いたりなど,さまざまな工夫を凝らしていると思います.
今回は,糖尿病性ケトアシドーシスの治療には必要不可欠で命綱とも考えられたCVカテーテルを,患者が不穏状態となって自己抜去し,その後適切な輸液管理ができずに死亡したという裁判例を呈示します.
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