研究と報告
医療チームにおけるソーシャルワーカーの役割—自己管理の困難な糖尿病患者への援助を通して
松本 佳子
1
1東京厚生年金病院医療社会事業部
pp.680-683
発行日 1984年6月1日
Published Date 1984/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661920798
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はじめに
現代の医療は,患者の疾患に注目して単に対症療法を施すだけにとどまらず,生活背景も含めて患者の全体像を正しく把握し,‘病む人間’の持っている様々な問題点を明らかにしながら,それらを治療効果へと結びつけていく方向に発展してきている.すなわち,‘患者のニードを出発点とする’‘患者中心,ニード中心’‘患者志向’といった言葉で代表される‘全人的医療’の追求である.
従来からも医師・看護婦は,問診や面接などを通して患者の社会・経済面や心理面の把握に努めてきたが,このような医療担当者個人の対応には一定の限界があることは否めない.一方,全人的な医療においては多面的な学識が必要であり,そのため,医師・看護婦のみならず,医療ソーシャル・ワーカー(以下,MSWと略す),心理士,栄養士等の医療従事者によるチームワークが行われるようになってきた.患者の心理・社会的問題の解決や軽減を図るためには,これらの医療スタッフが充分かつ密接な連携を取り合いながら,チームの中でそれぞれの役割を遂行していくことが望ましい.
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