特集 転換期における人材育成
転換期における人材育成のパラダイムシフト―求められる看護職ニューリーダーと社会的責務の自覚
岡本 祐三
1
1阪南中央病院内科
pp.783-789
発行日 1995年9月25日
Published Date 1995/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901195
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「寝たきり老人大国」
疾病構造の転換
わが国は1970年代に感染症―急性疾患がほとんど制圧されるとともに,成人病―すなわち慢性疾患の時代に入り,同時に世界一の長寿国になった.現在では女性が83歳,男性が77歳で,「長寿オリンピック」では日本は金メダルの常勝国となった.慢性疾患は生命の危機を回避できても,多少にかかわらず障害を残す.その典型が高血圧や動脈硬化症にもとづく,脳卒中である.
しかしまともなリハビリテーションができる病院は数少ないという事情に加え,病院や家庭での看護・介護力不足,貧しい住居環境などのために,日本は世界最高の長寿国になるとともに,「寝かせきり」による「寝たきり老人」100万人という,「寝たきり老人大国」という不名誉をも背負いこんでしまった.この結果,ゆき場のなくなった高齢障害者が多数病院に沈澱して,いわゆる「社会的入院」患者となったわけである.
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