臨時増刊特集 臨床医のためのCTスキャン
序文
序
田坂 晧
pp.2030
発行日 1981年11月20日
Published Date 1981/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217423
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X線診断では,ときどき「読影のコツ」ということばにお目にかかることがあります.X線写真の読影には,なにか名人芸的な勘のようなものが必要だという先入感があるのかも知れません.X線診断の修練では,このような意味の「コツ」を期待する気持が残っているとしたら,むしろそれを取り除くところから始めるべきであると考えています.
X線診断で,読影という作業を合理的に客観的に進めていくのに,必要な基礎が2つあります.第1は,種々のX線撮影やCTなどで,画像がどのようにつくられるかについて,基礎的に十分な理解をもっていることです.第2には,画像に対応するもととなる正常のX線解剖,および種々の病変で起こる形態の変化についての局所解剖学的な正確な知識をもつことです.この2つから,どの症例についても常に,再現性のある,一定の確からしさをもった判断が,いつでも同じように進められるようにするところに,X線診断の基本的姿勢があります.
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