調査・研究
教育場面での「アンケート」活用の意義に関する研究―看護学生に対する基礎看護技術の学習を通して
小薬 祐子
1
,
今中 雄一
2
1日本医科大学看護専門学校
2日本医科大学医療管理学教室
pp.162-166
発行日 1995年2月25日
Published Date 1995/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901064
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研究の背景と目的
アンケート調査には国勢調査,官公庁や新聞,放送関係者が実施する意識調査,世論調査などの大規模なものから学校全体として実施される小規模な調査に至るまで様々なものがある.このような意味合いからすれば,元来,アンケート調査とは,問題を認識し,その問題を解決していくために種々の情報を得る手段として用いられていると解釈できる.辻ら1)は「アンケート調査とは,社会の様々な分野で生じている問題を解決するために,問題に関係している人々あるいは組織に対して同じ質問を行ない,質問に対する回答としてデータを収集し,そのデータを解析することによって,問題解決に役立つ情報を引き出していくという一連のプロセスである」と定義している.
教育の場面におけるアンケート調査の応用については,“問題解決のためのプロセス”ということで,「教育とは学習者の行動に価値ある変化をもたらすプロセスである」2)という概念に相通ずるものがある.それは学習者の行動に価値ある変化,つまり行動変容をもたらすためには,教育プロセスにおける学習者がもつ1つひとつの問題を解決していくことにあると考えられるからである.教育とは,単に教えることではなく,学習者の行動を望ましい方向に変容させ,かつそれを習慣づけることであると定義される.従って,習慣形成を以て終了すると言われる.しかし,人間の行動を変容させることは容易ではなく,体験を通じての学習が重要となる.
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