特別寄稿
バングラデシュにおける看護教育の現状と問題点
阪本 久美子
1
,
梅本 喜久江
1
,
熊野 美佳
1
1前:青年海外協力隊
pp.268-274
発行日 1993年4月25日
Published Date 1993/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900559
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バングラデシュというところ
インド亜大陸の東のつけ根は,ガンジス河,ブラマプトラ河,メグナ河という3つの大河が合流し,デルタ地帯となっている.その東半分,面積にして,北海道の約2倍にあたる部分がバングラデシュ人民共和国といい,1971年にパキスタンから独立した.人口は約1億1000万人で,その80%が農村に住んでいる.国民総生産の約50%を農業生産に依存する農業立国で,主要産物は米,ジュート,茶,皮であり,輸出産品も一次産品およびその加工品の割合が高い.
しかし,農業国とは言え,土地なし世帯や零細農業の数が年々増え続けており,近年では過半数の世帯がこうした階層に属するようになっている.これらの世帯では,稼ぎ手は農業労働者となるか何らかの形で農業以外で現金収入の道を求めるしかないが,雇用に比べて求職者数が多いために,いずれの部門でも賃金は極めて安い.そのため,村人の多くは充分に食べられず,主に栄養失調が原因で子供たちの多くが命を落としている.
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