特集 人口問題を考える
バングラデシュでの家族計画指導にあたって
斎藤 セイ
1
1関東労災病院産科
pp.181-185
発行日 1981年3月25日
Published Date 1981/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205824
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
●バングラデシュで働くことになったきっかけ
バングラデシュは今年で独立10年を迎える若い国である。私は,その主都ダッカの近くで2年半の間,家族計画指導にあたってきたが,日本に帰って1年経た今も,バングラデシュでめぐりあったさまざまな人々との思い出は,かえって鮮明度を増していくような気がする。
私が発展途上国の人々に心を寄せるようになったのは,看護学校に入学した頃,飢えに苦しむビアフラの子供たちのポスターが目に止まったときからである。それ以来発展途上国への関心が強くなり,看護婦の資格をとった後には,何としてでもそれらの国で自分なりに働きたい,役に立ちたいと思い続けていた。特にバングラデシュに関しては,独立間もない国であり,毎年のように洪水による難民があふれ,そして人口の多い貧しい小国としての印象があった。世界で一番かわいそうな国,貧しく病める国としてのイメージが脳裡にこびりつき是が非でも行きたかった。
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.