連載 看護教員のつぶやき・no.7
学生の「観察力・言語力」を育成する対話型鑑賞
奥原 真仁
1,2
1旭川市立大学保健福祉学部保健看護学科
2京都芸術大学アート・コミュニケーション研究センター
pp.648-657
発行日 2023年10月25日
Published Date 2023/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663202164
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学生の「観察力・言語力」を育てられていない
COVID-19が5類感染症へ移行し、多くの病棟や地域で、多少の制限は残るものの臨地実習が実施できるようになってきました。私の勤務する大学も今年度(2023年)は病院・地域に出て実習が行えるようになりました。そこで改めて感じたのは、学生は臨地実習で患者さんの変化を目の当たりにすることで、看護する喜びを感じたり新たな自己を発見するなど、学内実習では得られにくいさまざまな学びを得ている、ということでした。
一方で、実習中に学生指導をしている際、「授業で学んだことを活かせていない」「学生の『観察力・言語力』が育てられていない」と感じる場面が多くなりました。学生は授業や実習に向けた事前学習などから知識を蓄えて実習に臨み、さらに実習中は、電子カルテから患者さんに関する情報も収集しています。しかし、今の学生はそれらの知識や情報を活用して、「コミュニケーションを介した観察」が苦手な人が多いように思います。それは、事前に蓄えた知識や情報にとらわれてしまい、疾患の状態や症状の有無のみに視点が集中した結果、患者さんとのコミュニケーションが疾患や症状中心となり、日々の生活状況から患者さんの小さな変化に気づけなくなっているからではないでしょうか。
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