特集 EBPと看護教育
EBPサイクルを回す戦略―研究活動がそのまま教育になる事例
山川 みやえ
1
1大阪大学大学院医学系研究科老年看護学
pp.160-166
発行日 2023年4月25日
Published Date 2023/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663202067
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前稿(→154ページ)にて、EBPを実践すること自体が看護教育に他ならないことを述べた。EBPは、研究によって生み出された成果、患者の体験や嗜好(意思も含まれる)、臨床知やノウハウ、その他の手堅い情報、これらエビデンスの4要素をうまく組み合わせて、関係者の意思決定の共有を行うものである。EBPを実践するうえでは、この4つの要素に関する情報を十分に収集して、それぞれの情報が意味するところを理解しなければいけない。看護教育はそういったプロセスを実践できる看護師の養成を担うものであるため、看護教育者は、それぞれの要素を深く掘り下げ、かつ、それらの情報の関係性や関係者の状況を把握して同職種・多職種協働の戦略を教授していく責務がある。
そのため、当然、公表されている既存の研究をタイムリーに把握しなければならず、既存の研究では十分な成果がない場合、自ら研究することも必要である。本来、看護教育はEBPの実践と表裏一体である。本稿では、前稿の[図3](→157ページ)で述べたEBPサイクルを回すためにしてきた研究活動を紹介しつつ、EBPサイクルを回すことが看護教育にどれほど貢献できるかを示したい。
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