実践報告
産褥早期の観察技術習得に向けたロールプレイ演習の導入―子宮復古状態の観察場面における実践
緒方 京
1
,
戸村 佳美
1
,
我部山 キヨ子
1
1岐阜協立大学看護学部
pp.460-464
発行日 2021年5月25日
Published Date 2021/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201729
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はじめに
看護基礎教育の現状と課題として「自分で考えて行動する」学修の不足が問題視され、講義・演習・実習の効果的な組み合わせ1)による看護実践能力の育成が提唱されている。また、対象との人間関係を形成する基礎となるコミュニケーション能力の不足とさらなる強化の必要性2)も指摘され、2022年度からの新カリキュラムでは対人技法を用いたコミュニケーション能力の獲得が新設された。
正常褥婦の入院期間は1週間弱であるため、母性看護学実習においては、3〜5日間程度のきわめて短い期間で褥婦の状態を適切に把握し、看護ケアを行う必要がある。学生は実習環境に慣れる時間的猶予もなく、褥婦との良好なコミュニケーションを築くことや日々変化する退行性変化を観察する能力が求められる。そこで本学(岐阜協立大学看護学部の前身の大垣女子短期大学看護学科)の母性看護学演習では、褥婦の観察場面における知識と技術の統合をめざすとともに、実習のイメージ化を意識したロールプレイ演習を2017年度より導入し、学生の学修成果と授業評価による改善を行っている。
本稿では、褥婦や夫の役割演技による対象理解の促進、看護師として対象とのコミュニケーションを尊重し、アセスメントしながら観察する能力の獲得、およびグループでのLearning Through Discussion(LTD)を重視した産褥期の実践を報告する。
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