- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
医療の高度化・専門化、入院日数の短縮により、臨床現場では複雑で多様な状況に対応できる臨床実践能力と業務遂行が求められ、入職直後の新人看護師であっても、患者の安全を担保した看護実践が不可欠となる。一方、看護基礎教育では、2008(平成20)年の指定規則改正により統合分野が新設され、「看護の統合と実践」に医療安全の基礎的知識を含む内容とすることが明記された。しかし、その内容は詳細に示されておらず、各教員の裁量に任されている現状や、一貫した医療安全教育の実践には組織的な教員の連携が必要であることが示唆されている1)。
また、臨地実習においても、実施体制に関する最大の課題は、身体に直接影響を及ぼす技術について、実地に体験をとおして実践能力の基礎を培おうとしても、学生であるがゆえに制約が伴うことである2)。さらに、患者の権利保障、倫理的側面や安全の観点から実習対象者の選択が難しく、実習内容は見学にとどまってしまう傾向があり、患者安全を基盤にした看護技術の患者への適用や、医療チームの一員として患者安全を高めるための取り組みへの参画などを経験する機会は少なくなっている。そのため、学生や新人看護師を対象にした患者安全教育の基盤づくりには、看護基礎教育と継続教育において教員と医療安全管理者を含む臨床との連携と協働がきわめて重要になる。
聖路加国際病院(以下、当院)では、2016年度から聖路加国際大学大学院修士課程看護教育学上級実践コースを修了したClinical Nurse Educator(以下、CNE)が、学生から看護師への移行期教育を支える存在として、医療安全教育にも携わっている。本稿にて、その役割と活動について報告する。
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.