連載 障害や病いとともに学ぶ、働く・4【最終回】
いま、振り返って思うこと
瀬戸山 陽子
1
1東京医科大学医学部看護学科看護情報学
pp.412-414
発行日 2019年5月25日
Published Date 2019/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201244
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障害をもつ教員として見えること
多くのサポートを得ながら学部を卒業し、看護師の資格を取得し、そのまま大学院へ進んで、その後は、研究所などの勤務を経て、いま看護教員5年目を迎えている。「臨床経験がない教員がいてもいい」「いろいろな人がいてもいい」「役割分担だから、できることを一所懸命やってください」。今の職場に採用されるときに、そういうふうに声をかけてくれた人がいた。この言葉は、採用後も頭のなかで、自分に言い聞かせるように繰り返してきたと思う。
それでも、看護教員としてできないことに直面したときは、人と比べて自分が苦手なことを挙げてわざわざ確認し、どうしようもないことについて思い悩み、消耗したこともあった。努力して何とかなるなら努力するという選択肢もあるが、それが難しいこともある。時には、今の自分を否定してなるべく「健常」に近づけようとする思考自体が、障害をもつ仲間から教えてもらったこと、その人たちと一緒に過ごした時間、また、障害をもつ仲間と出会ったことで広げてもらった世界を、否定するような思いにすらなった。
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