1200字通信・84
手術の神様
板野 聡
1
1寺田病院外科
pp.46
発行日 2015年10月22日
Published Date 2015/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210929
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- 文献概要
外科医であれば手術を行い,その成功を謙虚に祈ることは,かのパレ先生の言葉を持ち出すまでもなく当然のことですが,手術が予想以上に上手くいったときなど,これ以上の手術はないなどと不遜な気持ちになることがありました.そして,得てしてそういうときに限って起こるはずがない(と思っていた)トラブルが発生し,慌てることになるものです.
以前,ラパ胆で癒着の激しいカローの三角部をなんとか処理し,意気揚々と肝床部の切離を進めていたとき,肝臓から直接入る動脈に気付かず切断してしまい,一瞬にして画面が真っ赤になり視野を失ったことがありました.吸引と洗浄を繰り返して止血に成功し,無事手術を終えはしましたが,気を緩めるなと誰かに叱られたような気がしたものでした.
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