連載 臨床倫理を映画で学ぼう!・2
研究における対象の「モノ」化—『シェイプ・オブ・ウォーター』
浅井 篤
1
1東北大学大学院医学系研究科
pp.150-151
発行日 2019年2月25日
Published Date 2019/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201182
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
作品紹介
今回は『シェイプ・オブ・ウォーター』(ギレルモ・デル・トロ監督、2017年、米)です。第90回アカデミー賞4部門を受賞した傑作です。舞台は米国バルティモア、時は1962年。米国とソビエト連邦が熾烈な宇宙開発競争を行っていた時代でした。幼年期に受けた虐待のため唖になったイライザは極秘の航空宇宙研究センターで清掃員として働いています。同僚のアフリカ系アメリカ人ゼルダと隣人の売れない画家で性的マイノリティのジャイルズが彼女の友人でした。ある日、同研究所にアマゾンの奥地で神と崇められていたという半魚人のような生物(以下、「半魚人」または「彼」と呼びます)が研究のために運ばれてきました。イライザは彼と心を通わせるようになり、お互いに愛情を抱くようになりました。しかし軍幹部らは彼の呼吸法の秘密を知るために生体解剖することを決定し、ソ連のスパイで研究者として研究所に潜り込んでいたホフステトラー博士は、上司から彼の毒殺を命じられます。愛する半魚人を救うために、イライザは友人らの助けを借りて、彼を救出しようとするのでした。
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.