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発達障害について学ぼう
発達障害とは,「自閉症,アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害,学習障害,注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」1)と定義されている。このうち自閉症・アスペルガー症候群・広汎性発達障害は,2013年に米国精神医学会DSM─52)において「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」(以下,ASD)と統一された。わが国では,発達障害者支援法1)で発達障害特性に対応した医療的,福祉的及び教育的援助が明記されており,大学などの教育機関においても,その人の特性に応じた配慮が求められている。大学,短期大学及び高等専門学校における障害のある学生に関する実態報告によると,発達障害に関連した支援を受けている学生数は6,889人で年々増加傾向を示し,講義や試験への配慮が各教育機関で実施されている3)。学生への支援が広がる一方で,看護教育に携わる教員には,支援と教育の役割との間での葛藤があると推測される。たとえばASDの特性や,注意欠陥多動性障害(以下,ADHD)の特性をもつ学生が将来看護師としての責任を果たせるのか,不安を抱く看護教員は少なくないだろう。
上記の現状を鑑み,看護教員は学生への教育保障のために発達障害を学ぶ必要があると考えられる。もとより看護教員が発達障害を知ることの目的は,学生対応だけでなく,多様な対象者への看護を学生に教授するためでもある。発達障害の特性がある対象者は,小児看護学の分野だけでなく,妊婦,成人,高齢者にも存在する。対象者の個別に応じたケアを実践できる人材を育てるには,どの分野の教員も発達障害の知識をもって看護学を教授できる力が求められていると言えよう。
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