連載 NとEとLGBTQ・5
同性愛指向や性別違和をもつ看護学生への対応
藤井 ひろみ
1
1神戸市看護大学
pp.729
発行日 2018年8月25日
Published Date 2018/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201063
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SOGI(性的指向・性自認)の多様性は,看護学生のなかにも見られます。筆者が2016〜2017年に実施した看護学生へのインタビュー調査では,同性愛指向や性別違和をもつ看護学生がいろいろな対処行動をとりながら,学んでいる事例が明らかになっています(表)1)。
たとえば,学校で実習服のデザインが男女で異なる場合,戸籍とは異なる性別の制服の着用が許可されるか,ということが学業継続の分岐点の1つになり得ます。その交渉のために学校長や教員へのカムアウトが必要になります。しかし性的な個人情報を,すべての学生が公にしたいわけではありません。また学生からカムアウトをされた看護教育者側は,SOGIに関して学生の「同意なき暴露」(アウティングと言います)をしてはなりません。学校として,実習指導者や患者が学生を受け入れてくれるだろうか,SOGIの多様な学生の状況をどの程度伝えるのか,対応を検討することになります。学生自身も「自分の性的指向の話はしたいと思ってるけど,あの人ちょっといや……みたいに思われる方(患者)もいるかもしれないので,どこまでオープンにしようか……」1)と考えている場合もあります。まずは当該学生と相談し,具体的に起こり得る状況を伝え,意思確認をおこなうことが重要です。
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