特集 学生のセクシュアリティに向き合う
看護教員はセクシュアリティをどこまで意識しているか
齋藤 益子
1
1帝京科学大学医療科学部看護学科
pp.170-177
発行日 2017年3月25日
Published Date 2017/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200698
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はじめに
筆者はこれまで「性・生殖看護学分野」として母性看護・助産教育や研究活動を推進してきた経緯がある。そこでは人間の性,患者の性,妊娠中や産後の性,思春期の性教育などが主なテーマであり,助産基礎教育では女子のみの教育で,看護教員として学生のセクシュアリティを強く意識することは少なかった。しかし,看護における性差ということでは,男性助産師導入問題で悩まされた。筆者は日本で初めて,男子学生に助産師教育を行った経験がある1)。実際の妊産婦に対する調査2,3)では,男性助産師を肯定する意見が多く聞かれ,産後の乳房ケアなどの業務の一部を選択させることで問題はないものと思われた。男子学生に助産基礎教育を行い,助産師の国家試験を受験させていただくように厚労省に要望書を提出し,国会議員にも働きかけたが,反対意見が多くかなわず,助産師は現在も女性のみの職業とされている4)。
今回,看護教員のセクシュアリティ意識について考える機会をいただいた。これまでの看護教育とセクシュアリティに関する記述は,患者の性に関して学生にどう向き合わせるかなど,患者のセクシュアリティを理解させるテーマが多く5,6),教師自身の性意識に関するものは少ない。そこで本稿では,筆者自身の体験と本学教員や学生へのインタビューによって得られた材料をもとに私見をまとめた(ゴシック文字は教員や学生の意見)。
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