第Ⅳ章 各論:がん患者へのケアとエビデンス 患者の安楽の追求とエビデンス
セクシュアリティ
大石 ふみ子
1
,
林 さえ子
2
1聖隷クリストファー大学看護学部
2中部大学生命健康科学部保健看護学科
pp.200-2004
発行日 2019年2月25日
Published Date 2019/2/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango24_200
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セクシュアリティとは何か
人間にとっての性は,単に生殖における役割や機能のみではなく,その人がどのような生きざまをする人であるのか,全人格の大本にかかわるものである.このような考えかたに基いて,人間の性は,セックスではなくセクシュアリティという概念を用いて述べられるようになってきた.
カーケンダール1)はセックスとセクシュアリティについて,「セックスとは身体部分やそれにかかわる行動の総称として考えてきたが,セクシュアリティとは人格と人格のふれあいのすべてを包含するような幅の広い概念で,人間の身体の一部としての性器や性行動のほか,他人との人間的なつながりや愛情・友情・融和感・思いやり・包容力など,およそ人間関係における社会的・心理的側面やその背景にある生育環境などもすべて含まれる」と述べている.また村本2)は,セクシュアリティ=人間の性の意義として,次の5つをあげている.
①性別としての性,②生殖性の性,③性衝動・快楽性としての性,④親密性・連帯性としての性,⑤性役割としての性
がん患者のセクシュアリティをとらえるためには,まずこのようなセクシュアリティの概念の幅広さゆえに,がんやその治療が多面的にセクシュアリティに影響する可能性があることについて理解する必要がある.
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