特集 学生のセクシュアリティに向き合う
扉
pp.169
発行日 2017年3月25日
Published Date 2017/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200697
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看護は,あまたの職業のなかでもとりわけ身体接触の多い仕事です。他人の体にさわるとき,たとえそれが仕事であっても,「恥ずかしさ」は消えるわけではありません。ですので,本来であれば,その「恥ずかしさ」をふまえたうえでの基礎教育が求められますが,現実的にはどうでしょうか?患者さんの「恥ずかしさ」には視線が向けられていても,学生自身の「恥ずかしさ」は後回しにされていないでしょうか? 「『恥ずかしさ』を考慮して,接触がある演習は同性同士で行うようにしている」と聞くことが多いですが,それでは現場に出ていきなり未経験の身体接触をするということになりますし,性的マイノリティの潜在可能性を考えれば,単純な“同性同士”ということ自体が意味をなしません。配慮しているようで,実は学生のセクシュアリティについて考えることをスルーしているとも考えられます。
今回の特集では,身体接触と「恥ずかしさ」という視点を例に,いまだ十分考慮されているとは言えない学生のセクシュアリティに配慮した教育の方策について,特にマイノリティ側からの意見を中心に提案します。セクシュアリティそのものについてですら,まだまだ正面きって論じられることが少ないですが,患者さんのことを考えるその前に,教員は学生のことを考えていただきたいと思います。基礎教育の段階で自らのセクシュアリティに向き合う経験は,必ず臨床現場で役に立つはずなのですから。
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