特集 外来で出会うアレルギー疾患—Total Allergist入門
扉
関谷 潔史
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1国立病院機構相模原病院アレルギー・呼吸器科
pp.186-187
発行日 2021年2月10日
Published Date 2021/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402227412
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気管支喘息,アトピー性皮膚炎,アレルギー性鼻炎,アレルギー性結膜炎,花粉症,食物アレルギー,薬剤アレルギーを代表とするアレルギー疾患は,一般内科診療において出会うことの多い疾患であるが,診断や治療に難渋することも多く,アレルギー疾患の既往があるだけで嫌厭されがちである.2017年にアレルギー疾患対策基本法が施行されるなど,アレルギー疾患診療の重要性は理解されているものの,日本全国でアレルギー専門医は4,000人程度しかおらず,専門医不足が指摘されている.また,アレルギー専門医は,基盤とする専門領域が内科・小児科・耳鼻咽喉科・皮膚科・眼科と非常に多岐にわたるため,各専門領域にまたがってアレルギー疾患全般を診ることのできるTotal Allergistが育ちにくい環境にある.
専門医が不足しているため,患者が居住地域にかかわらず,等しくアレルギー疾患医療を受けられるようにするには,あらゆる診療科の医師がアレルギー疾患全般の知識を有していることが望ましい.そのためには知識の普及が必要不可欠である.アレルギー疾患治療の原則は「原因の回避」であるため,知識を備えているだけで症状の悪化を防ぎ,患者のQOLを改善させることが可能である.また,たとえ専門的な診断や加療ができなくても,知識があれば患者からの身近なアレルギー疾患に関する相談に乗ることができ,QOL改善に大いに役立つ.
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