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安酸先生との出会い
子どもの頃は学校の先生になることを夢見ていた。そして中学生の頃の2回の入院経験で心の片隅に看護への思いが宿ったのか,高校の恩師(山下茂久先生)の勧めもあり,鹿児島大学医療技術短期大学部看護学科へ入学した。看護学生の頃からは看護教員になることを夢見,名古屋大学医学部附属病院と精神科の杉田病院での6年間の臨床経験を経て,母校である鹿児島大学で5年間の教員を務めた。ここでは,看護学生時代のあこがれの恩師であり後の同僚,上司となった堤由美子先生(鹿児島大学医学部保健学科教授)に,国立大学の看護教員としての姿勢や役割,教育観や看護観,さらには学部・大学院生を含めたゼミ(教室)運営や社会貢献など,たくさんの迷惑もかけたが教員1年目から5年間,私に責任を与えながら自由に実習教育を中心とした教育展開を図ることを見守ってくださっていた。その礎を築くことができたことに今でも深く感謝している。
そして,教員として現実のもどかしさと将来への希望と不安を抱いていた時期に縁あって福岡県立大学大学院の門を叩いた。そして,そこで出会ったのが安酸史子先生(現,防衛医科大学校医学教育部看護学科長)であった。その出会いは,著名人がすぐ目の前にいるという緊張と驚きの感覚であった。出会う直前の12月,九州初上陸であった第28回日本看護科学学会学術集会が福岡で行われた際の学術集会長が安酸先生で,当時一参加者であった私は学会の規模の大きさにびっくりしたと同時に「ついに科学学会が九州にも来たか」と,また学会長の安酸先生はどんな偉大な先生なのだろうと思っていたからである。いまだに学会や研究会議などでお会いするとき,その感覚は薄れていないが少しの緊張感と心地よさを感じながらフォーマルな場だけではなく,インフォーマルな場でも時間と空間をともにするなかで,先生の姿勢から感じ取ろう,盗み取ろうとする私がいる。
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