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紙屋先生との出会い,そして学んだこと
看護短期大学を卒業後,大学病院と総合病院での約10年間,看護師として勤務し,看護師7年目に臨床指導者になりました。実習期間中の連日勤務であることと,学生への接し方がわからず,臨床指導を行うことが苦痛でした。しかし,あるとき,学習が進んでいない学生に指導した際に,週を挟んで素晴らしい記録を書いてきました。その後,自分のかかわりで,学生が変化してうれしいという体験から,教育の道に進みました。成人看護学の助手をしていましたとき,基礎看護学の教員から,「学生に見せているビデオだけど,見る?」と,1本のビデオを受け取りました。それがNHK特集「あなたの声が聴きたい」でした。そのビデオをみて,驚きと感動で,私は全身に鳥肌が立ちました。脳神経外科病棟での勤務経験はありましたが,札幌麻生脳神経外科病院での看護実践は全く知りませんでした。紙屋先生が筑波大学に在籍されていることを知り,平成11年に大学院に進学しました。修士課程に進学後,博士課程に進みました。その後数年間,成人看護学の教員として紙屋先生の基で働かせていただきました。ビデオに始まり,実際に紙屋先生の看護実践を見せていただけたことは,私にとって貴重な財産です。また自分の看護について深く考える機会になりました。このような経緯から,本稿では紙屋先生の看護観について,またそれらをどのように伝承していくべきか,自身の考えを述べたいと思います。
紙屋先生の看護観を一言でいうならば,「看護師は患者の回復をあきらめない」ということではないかと思います。先生の看護観を,「看護の専門性」「看護の探究と創造」「専門職としての自律」「患者の力を信じる強さ」「看護実践の伝承」,というkey wordで説明したいと思います。
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