連載 アジア,アフリカ,ラテンアメリカの看護教育はいま・10
ケニア─東アフリカの看護界のリーダーとなることへの期待
成瀬 和子
1
1東京医科大学医学部看護学科
pp.64-69
発行日 2016年1月25日
Published Date 2016/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200428
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ケニアの概略
国土と国民
東アフリカに位置しインド洋に面したケニア共和国(以下,ケニア)のもとになった民族集団は,紀元前2000年ころに北アフリカから来た部族が住み着いたのが始まりとされているが,タンザニアからエチオピアにかけてのアフリカ大地溝帯で数十万〜数百万年前の古代人の骨が何体も発見されていることから,現在では人類発祥の地とも考えられている。実際に大地溝帯を目の前にすると,標高差1500mというそのスクールの大きさと現在も拡張しているという地球の不思議に圧倒されると同時に,そのサバンナのなかでの人々の暮らしを考え人間のたくましさも実感する。
ケニアの国土面積は約58万6000平方キロメートルで日本の約1.5倍あり,東はソマリア,北はエチオピアと南スーダン,西はウガンダ,そして南はタンザニアと隣接している(図)。国土を赤道が二分しているが,5000mを超え頂上に万年雪をいただくケニア山をはじめとしたいくつもの山々,ケニア山の裾野にひろがるハイランドと呼ばれる丘陵地帯,北部の平坦な砂漠や西部の熱帯雨林,海岸部のサンゴ礁など,多様性に富んだ自然もケニアの特徴である。ちなみに赤道の南北で排水の渦を巻く方向が異なるという伝聞があるが,筆者が実験したときは赤道からの移動距離が短いためか現象を確認することはできなかった。
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