特集 理想的な「入学前学習」を求めて
教育改善のための入学前教育─非看護系大学の状況から
江本 理恵
1
1岩手大学教育推進機構
pp.1128-1133
発行日 2014年12月25日
Published Date 2014/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200054
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はじめに
高等教育機関の入学試験の多様化に伴い,推薦入試,AO入試などの入試で入学する学生が増えており,岩手大学でも約20%の新入生が該当する。これらの入試では比較的早期に合格が決まるため,入学するまでの間の学修動機の維持が難しいうえに,一般入試を受けた学生との学力差も指摘されている。
これらの対応策として,大学に入学する前の高校生を対象とした「入学前教育」を取り入れる大学も増えてきている。しかし,入学前教育の対象者は現役の高校生で,高校生活(授業など)に支障がでないように配慮が必要なうえに,遠隔地の対象者もいるので対面での指導や一斉指導が難しい場合が多く,課題の出題,返却などを郵送で行うことになるため,実施する教職員の負担も小さいものではない。
岩手大学では,これらの問題に対応しつつ,2006(平成18)年度(次年度入学予定学生)より入学前教育を実施している。初年度は試行として当時の大学教育総合センター(現・教育推進機構:全学的な教育課題を取り扱う部局)が単独で実施していたが,2007年度より大学教育総合センター運営委員会(現・教育推進機構会議)の下に各学部1名の委員とセンター(機構)関係教員から構成される入学前教育実施小委員会を設置し,全学体制で取り組んでいる。本稿では,その実践について報告する。
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