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はじめに
進研アド(KK)のアンケート調査によると,大学入学前の半数以上の学生が「大学の授業についていけるか不安」と答えているという。また,大学側からみると,大学合格から入学までの期間,どのように過ごしているのだろうか,意欲的な学習が継続できているのだろうか,といった疑問がある。特に推薦入学予定者は,合格から大学入学までの期間が約4か月と長い。
今日,大学生の基礎学力の低下が叫ばれ,大学独自の方法や業者による学習プログラム教材の活用などにより,学力を補うための入学前後の学習支援を実施する大学が多くなってきた。
表1は,2003年度愛知県公立高等学校校長会と愛知県私立大学広報委員会との懇談会における資料である。これによると,推薦入学者に対する入学前指導は,愛知県下39私立大学中27大学が実施し,検討中の大学を除けば実施していないのは8大学のみであり,入学前サポートの必要性を認識している大学が多くなっていることを示している。また,その他の事例では,某大学理工系学部で推薦・AO入試入学予定者に月1回,計3回にわたり学習意欲の向上を目的に,英語,数学II・Bの添削課題を課しているという(課題提出率は88~98%)。入学前の学生に対するこのようなサポートは,前述の学生の不安を軽減し,自己の学力の再点検や入学までの準備にもつながり,大学での学習の動機づけの一助になると思われる。
本学の推薦入試の合否は,12月上旬に発表される。したがって,入学まで4か月あまりあるので,学習の習慣が失われてはいないかなどが危惧される。そこで,大学教育への興味を持たせ,学生のモチベーションを高めるために,推薦入学予定者に対して入学前課題を課す試みを導入することとなった。対象は2003年度推薦入学予定者で,内容は,課題図書の感想文を提出することとした。
本稿ではその実際と効果を紹介する。
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