特別記事
―〈実践報告〉―国家試験に役立つ,看護師になってからも役立つ,スペシャルシミュレーション教育プログラム
内藤 知佐子
1
,
谷口 初美
2
,
任 和子
3
,
内海 桃枝
3
,
南 麻弥
1
1京都大学医学部附属病院総合臨床教育・研修センター
2九州大学大学院医学研究院保健学部門
3京都大学大学院医学研究科人間健康科学系
pp.752-758
発行日 2014年8月25日
Published Date 2014/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102792
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はじめに
医療の高度化や在院日数の短縮化,医療安全に対する意識の高まり,変化する国民のニーズなど,さまざまな背景のもと,今,臨床現場では高い臨床実践能力が求められている。その結果,看護基礎教育修了時点での能力と,臨床で求められる能力との間にギャップが生じ,そのギャップが新人看護師の離職に拍車をかけているという現状がある。
そこでわれわれは,看護基礎教育修了時点での能力と,臨床で求められる能力との間に生じているギャップについて,3方向(看護学生,新人看護師,新人看護師指導者)から質問紙および面接調査を行った1)。
その結果,新人看護師指導者が求める看護基礎教育修了時点での能力として上位に挙げられたのは,「環境調整」や「接遇」「バイタルサインの観察と解釈」など日常的に必要とされる看護技術であり,看護技術の習得よりも“専門職として素直に学ぶ姿勢”や“基本的なコミュニケーション技術”を身につけてほしいと感じていることがわかった。また,新人看護師への調査からは,学生時代は看護技術の習得不足に不安を感じていたが,研修や業務を通して徐々に看護技術を習得できる実感が,看護系大学4回生への調査からは,基礎教育の学びに臨床現場に即した教授法を求めていることが明らかとなった1)。
これらの結果からわれわれは,状況設定のシミュレーション教育の必要性が示唆されていることを認識し,看護系大学4回生に対し,態度面の育成をも可能とするシナリオ・ベースド・トレーニングを実践したので,ここに報告する。
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