Derm.2018
外用剤の使用方法,うまく伝わっているでしょうか
河原 由恵
1
1けいゆう病院皮膚科
pp.176
発行日 2018年4月10日
Published Date 2018/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205421
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時間が限られた外来診療内で,治療内容を患者さんに正確に伝えるのはなかなか難しいものです.内服については食前・後といったタイミングや回数は一般の人たちにもなじみがあり,理解が得られやすいと考えられますが,外用剤,特に抗炎症目的の処方(主としてステロイド)についてはどうでしょうか.
再診時に改善していないため,診断を考え直していたらせっかく処方した外用剤が実はほとんど使用されていなかった,ということがあります.瘙痒が軽微な疾患で「かゆみが気にならないので使わなかった」り,接触性皮膚炎などでも「かゆくない日には外用しなかった」りといったケースに遭遇します.皮膚疾患の外用治療=かゆみ止め,という潜在意識があるようです.そういった傾向を踏まえて,自覚症状を緩和することだけが目的ではないので,皮膚疾患の外用治療に不慣れな患者さんには,降圧剤や抗生物質の内服同様,改善するまで「定期的に」外用する必要があることを強調しています.また,当院の電子カルテの処方入力では,使用部位・回数のほか,薬袋に20字までの指示表記が可能であるため,診察中に話した内容をできる限り要約して表記しています.症状などを一般的な言い回しにかえて「△△なところへ」とか「□□になったら終了」「○日で終了」といった具合です(薬袋にそんなコメントありましたか,と言われて苦笑することもあります.字はけっこう大きいのですが).適正使用量のこともあるので,処方された薬剤が患者さんの手許にそろった時点で実際の外用方法をデモンストレーションできれば理想的ですが,病院の外来では時間やマンパワー的に難しく悩ましいところです.
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