連載 ひろがる災害医療と看護 身につけるべき知識とスキル・8
災害看護に必要な感染対策
山田 英子
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1兵庫県立大学大学院 看護学研究科 災害看護学専攻博士後期課程
pp.440-447
発行日 2014年5月25日
Published Date 2014/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102708
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災害時の高い感染症リスク
災害が発生してから2,3週間経過すると,テレビや新聞などで「今後,被災地では感染症が流行する可能性がある」というような報道を耳にする。災害発生とともに始まる避難生活は,一時的とはいえ,いつ終わりがくるのかもわからない,将来の見通しの立ちにくい不安定な状況にある。被災した人々は,避難生活に関連するさまざまな要因によって生体防衛機能の低下を来しやすい状況にあり,ひとたび感染症が発症すれば容易に蔓延するリスクを抱えているのである。
災害による健康問題は,単に対症療法を施せば解決するというものではなく,さまざまな要因に対する包括的なアプローチが必要とされる。ここでは筆者のこれまでの災害支援や途上国支援の経験から,感染症対策に焦点を当てて被災地で看護師にできることについて述べる。
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