コーヒーブレイク
再び残日録
屋形 稔
1
1新潟大学
pp.1626
発行日 2004年12月15日
Published Date 2004/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101135
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本誌に藤沢周平の「三屋清左衛門残日録」によせる感慨を綴ってからまた10年がたった.古今,洋の東西を問わず,人間は老いてなお命の輝き,魂のゆらぎの中を生きてゆかねばならない.同時代の作家池波正太郎が常に口にしていた言も「人は生れたその日から死に向って歩んでゆく」ということである.さだめとはいえ人生とは厳しいものである.
医療にたずさわる人間などは生き死にに直面する場合は一番多い筈である.しかし生老病死について真剣に考えることは,自らが老い,かつ身体の不調を感じて医療に身を委ねて初めて訪れるといってもよい.世上「生き方上手」なる書が大分読まれているようである.しかし一家言を有する医者仲間には「生き方に上手下手などある筈がない」と反撥する人も多い.
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