特集 「おかしいな」と思ったときの学生指導
実習からの帰校日 背中を丸めうつむき歩く
山田 智子
1
1東京都立広尾看護専門学校
pp.290-291
発行日 2014年4月25日
Published Date 2014/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102670
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事例 苦手なことに思い悩み自らを追い込んでしまう学生
看護専門学校3年課程2年生のAさん(30代)は子ども2人と夫との4人暮らし。大学卒業後,会社勤めをしていたが結婚を期に退職。子育てが一段落したので,幼いころから憧れていた看護師になる夢をかなえるため看護学校に入学した。
Aさんは,1年次の学習状況について,以下のように話していた。「看護の勉強は,やりがいがあり,楽しくて,ためになった。子どもたちなりに協力もしてくれた。しかし,看護技術は,人の何倍練習しても器用にできなくて困る」「基礎実習では,受け持ち患者さんとうまく話ができなかった。緊張すると頭が真っ白になり,VS測定も思うようにはかどらなかった」。
2年生になり,看護過程の展開や専門的な勉強が始まった。実習を4日間終えた帰校日,学校でAさんを見かけた。Aさんは,背中を丸め,階段をゆっくり上がっていた。重いリュックを背負い,うつむいて一点を見つめるように……。小柄なAさんが,より一層小さく見えた。
*個人と場所が特定されないようにフィクションとして再構成しています。
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