連載 看護学校管理・運営のための12のポイント・ポイント10
教育環境は危機管理から
江川 万千代
1
1遠賀中間医師会立遠賀中央看護助産学校
pp.74-80
発行日 2014年1月25日
Published Date 2014/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102612
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はじめに
人間にとって安全への欲求は,自分を危機から守りたいというもので,生理的欲求に次いで二番目に強い欲求である。看護学校に入学してきた学生たちは,その環境に慣れるまでにさまざまな不安(友人関係,先生との出会い,施設や規則など)や葛藤を感じながら,いろいろなことを体験し過ごしていく。しかし,環境に慣れてくると,少しずつ不安が取り除かれ安全への欲求が満たされていく。看護学校の管理運営における危機管理は,このように学生たちが安全で安心して学習できるようにすることである。
最近,企業や医療現場では,危機管理が重要視されるようになってきた。看護学校においても,安全な環境で,安心して学習させるための危機管理は,学校運営の初めにあげられる課題でもある。なぜなら,危機的状況は経営上の損失を生むことになるからである。
したがって,看護学校における危機管理は,関連団体(本校の場合は医師会など)や実習施設,また保護者らと連携しながら,学生や教職員の安全と安心を確保することであり,その目的は教育環境のリスクを軽減し,教育の質を担保するところにある。
今回は,本校で身近に考えられるリスクについて,学習環境を中心に考えてみたい。
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