特集 今を読み解くキーワード集
(G)健康危機管理
G 健康危機管理
貞本 晃一
1
1北海道庁保健福祉部
pp.1063
発行日 2000年11月25日
Published Date 2000/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902336
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「健康危機管理」(crisis and consequent management in health)は,平成9年1月の厚生事務次官依命通知「厚生省健康危機管理基本指針について」や,同年3月に出された飲料水,感染症,医薬品,食中毒の各分野の「健康危機管理実施要領」により,おそらく初めて用いられた表現である。その内容は「医薬品,食中毒,感染症,飲料水,その他何らかの原因により生じる国民の生命健康の安全を脅かす事態に対して行われる健康被害の発生の予防,拡大防止,治療等に関する業務」とされている。
これらの通知や要領が策定された背景には,薬害エイズ事件や,平成8年の地下鉄サリン事件,堺市の腸管出血性大腸菌O157の史上空前の集団感染事件など,従来の医薬品による健康被害や感染症,毒劇物中毒事件の規模や概念を大きく超える事態が発生したことがある。通知後である平成10年7月の和歌山砒素カレー事件の発生は健康危機管理の必要を痛感させ,さらに本年には有珠山,三宅島の火山噴火により災害医療の重要性も再認識された。
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