連載 実習の経験知 育ちの支援で師は育つ・16
―専門職の心意気と姿勢を伝承する―プロセスレコードを活かした実践的カンファレンスの運営
新納 美美
1
1北海道大学大学院理学院自然史科学専攻
pp.1068-1072
発行日 2012年12月25日
Published Date 2012/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102273
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心意気 熱く語れば シラケ鳥*1
日々つくづく思います。どれだけ心を砕いても,援助のコミュニケーションには万全も完璧もないのだと。その効果の答えはいつも対象者の未来にあり,私たちには見えないことのほうが多い……。だからこそ,漫然として援助の質を落としてしまうことのないよう現象に真摯に向き合う“心意気”と“姿勢”が必要です。後進にその心を伝えたい……。そんな想いは新任教員の頃から色褪せることなく,今も私の心のなかに生き続けています。
ところが,心意気や姿勢などというものは,そこに焦点を当てて熱く語れば語るほど“シラケる”ことがあるから困ります。私はどうも熱く語ってしまう性質のようで,ふと気づくと学生たちが引いているなんてことがありました。時には「先生,熱いっすね~」の一言がシラケ風味で投げかけられることも……。教員の熱心さが学生に波及してイキイキと実習を楽しんでくれることもあるのですが,いつもそうとは限りません。特に,学生の胸の内側に“看護なんて”“教員の言うことなんて”などという気持ちが少しでも隠れていると,教員の熱さを茶番劇でも観るようなシラケた感覚で受けとめることがあるようです。
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