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書評 ―『RCA根本原因分析法 実践マニュアル 再発防止と医療安全教育への活用 第2版』―看護師のすべての活動に関わる医療安全の基準「書」
稲葉 一人
1,2,3
1中京大学法科大学院
2久留米大学医学部
3元大阪地方裁判所判事
pp.515
発行日 2012年6月25日
Published Date 2012/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102107
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著者は,この約10年間,国立保健医療科学院等では,医療安全をわが国に根付かせる原動力者であった。また,今後もその最適任者である。その著者は,2007年の初版以降,医療安全の重要な基礎である原因分析の手法としてRCAを紹介し,すでに旧著は日本の医療安全の基準「書」となっている。今般第2版が上梓され,さらにわかりやすく,図版を添えて,読者にフレンドリーになっている。医療安全に関わるものとしては,喜ばしい限りである。手にとってみれば,著者の伝えたいという思いに基づく工夫が,あちらこちらに見える。ところで,評者は,医療安全に関わるが,主として,法律家として事故対応に,コミュニケーションの専門家として患者家族と医療者間のクレーム対応等に関わっているので,その観点から,本書の意味づけをコメントしたい。
1.医療安全・患者家族対応の基礎は,原因分析であるということである。患者家族対応は,コミュニケーションの問題という指摘もあるが,まず,「原因分析」が先行する作業である。原因を分析して,その問題を把握しない限り,患者家族への適切な対応はできない。したがって,非常に早く原因分析をしなければならない。そのような場合の注意点等を押さえている(24,29頁)。
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