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はじめに
看護専門学校における看護基礎教育の使命は,専門職業人として自律し,提供したサービスを自ら査定し,その責任を負い,よりよいサービス提供者となれる人材育成を行うことである。そして,「看護」に面白さを感じ,看護師としての実践に夢やプライドをもって,自らの判断と責任のもとに看護を創造できる資質を育てることである。
看護教育課程開発演習へのアプローチは,社会の動向を知り看護における社会・国民ニーズがどこにあるのかをキャッチすることから始めた。つまり,医療ビジョンの変遷を確認し,社会の看護に寄せるニーズと制約を検討し,看護の本質(普遍的なもの)と看護の質(時代や状況・環境などによって変化していくもの)は何かを,グループメンバー全員がその課題に向かい,納得いくまで審議することに意味があると考えた。
そこで,これまでの検討会報告書や文献学習を行い,以下の問題に着目し検討した。
(1)准看護師問題,社会人入学者の問題,看護教育の大学化の問題,専門学校の教育内容(看護学教育か,専門職業人教育か)の問題
(2)看護師の量や質の確保の問題
(3)離職問題,新人教育問題,看護師の疲弊問題
(4)求められる看護の役割と行いたい看護の専門性の問題
(5)看護教育の内容(医学モデル教育)と看護の質向上の問題
(6)過密でゆとりのないカリキュラムの問題
(7)看護実践力向上のための教育の問題
以上より,総じて看護教育の創発は,生活する人間に心通わせ向かい合う姿勢をいかにして創造し,学生自身が看護の喜びを感じる教育を開発するかということにあると考えた。そのために看護の本質に「ケアリング」を据え,主要概念の定義と理念・教育目的・目標を抽出しながら評価の視点を常に置き,教育内容と科目を創設しケアリング論の科目構築を試作した。
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