連載 大学ジャーナリストの取材ノートから・11
「信じる教育と疑う教育」―受験のために学生の思考力を奪わない道を
石渡 嶺司
pp.989
発行日 2010年11月25日
Published Date 2010/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101612
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先日,『13歳からの反社会学』(角川書店)が刊行されたのでさっそく読んでみました。私は著者のパオロ・マッツアリーノさんのファンです。同氏は書き手として常に新しいネタを提供しようとしています。こういう姿勢に共感するのもファンになった一因。こういう著者,現在では少数派になりつつあるのですが。なお,「パオロ」とイタリア人のような名前ですが,日本の芸能事情にやたら詳しく,どう考えても日本人です。が,それを追求するのは野暮ってものでしょう。この中の「芸能ニュースからだって,学べることはたくさんある」という第7章に学校教育の問題点を示すエピソードが登場していました。
“頭の良い”小学生がテレビ取材で,沖縄の基地問題について「沖縄には産業がないから基地が必要」と語ります。それに対して,沖縄出身の芸人が「沖縄にだって産業あるさ!」と突っ込んで,スタジオに笑いが起きます。このテレビ番組に対して,マッツアリーノさんは「その小学生の将来が心配になった」と書いています。つまり,評論家や大人の言うことを鵜呑みにして受け売りしているだけ,沖縄にどんな産業があるか調べたわけではありません。そして次のように受験教育の弊害を説明します。
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