特集 【研究する人間】木下康仁先生の功績と足跡
Ⅰ.研究者として,教育者として—木下康仁先生との在りし日
Ⅰ-5 未来への期待
学生の力と可能性を信じる,厳しくも温かい言葉
松井 芽衣子
1
1大阪成蹊大学看護学部
pp.67-70
発行日 2025年2月15日
Published Date 2025/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002283700580010067
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修士課程時代にいただいた指導を振り返る
木下先生には聖路加国際大学大学院看護学研究科において,修士論文・博士論文のご指導をいただきました。精神障がい者ピアサポーターの体験,COVID-19パンデミック下の保健所保健師の体験とそれぞれの論文で扱う内容は異なりましたが,質的データを用いて現象を記述すること,説得力を持った記述をすることに対して,一貫したご指導をいただきました。
今回,修士論文に関するご指導を振り返ってみたところ,記述の形式に関しては,「ずっとそれで読まされると苦痛というか,分析感が伝わってきません」,概念図に対しては,「現在の図はマグロを寝かしたような印象で」など,手厳しいお言葉もいただいていました。それでも当時の印象として辛辣さが一切残っていないのは,先のご指摘と同時に具体的な構成の工夫の仕方もお示し下さるなど,丁寧にご指導いただいたからだと思います。加えて,修士論文の提出期限が近づいてナーバスになる時期には,他の院生さんもお誘いして,面談とランチを組み合わせた予定をご提案くださるという温かいお心遣いもいただきました。大学近くのカレー屋さんでテイクアウトして研究室でランチにしたのですが,木下先生のオーダーは,“マトン・5辛・ライス”でした。

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