連載 看護の高等教育化と今後の課題・3
進む大学改革と看護実践能力育成の大学卒業時到達目標の提示
石井 邦子
1
1千葉県立保健医療大学健康科学部看護学科
pp.492-496
発行日 2010年6月25日
Published Date 2010/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101483
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
平成14(2002)年4月1日,筆者は,正木治恵氏の後任として3人目の看護教育専門官に着任した。看護系大学の学部と大学院で学んだ経験,看護系大学の教員として看護学の教育研究に従事した経験をもつことが着任の理由と説明を受け,看護教育行政という未知の世界にチャレンジする決心をした。
振り返ると,筆者が在職した平成17(2005)年3月までの3年間は,大学改革の歴史的なターニングポイントであり,看護系大学改革もその影響を受けながら進んだ。平成4(1992)年の「看護師等の人材確保の促進に関する法律」施行当時,「将来的に看護系大学は100校程度」という予測であったが,10年後の平成14年には予測の100校となり,さらに増え続ける様相であった。看護系大学の急激な量的拡大に対し,教員不足や実習施設等の学習環境の不足,それに伴う教育の質の低下が懸念され,学士課程における看護基礎教育の質的充実が急務となっていた。後発学問である看護学は,大学改革の流れに乗り遅れることなく学術的基盤を強固にしていくという課題と,国民の健康と保健医療に寄与することのできる看護専門職を確実に輩出していくという課題に,同時に取り組むことになったのである。
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.