連載 Mail from USA 『JNE』を読み,世界の看護教育の流れを知る・4
シカゴの新型インフルエンザ事情から
杉本 敬子
1
1イリノイ大学看護学研究科博士課程
pp.782-783
発行日 2009年8月25日
Published Date 2009/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101288
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●わが家のインフルエンザ騒動―シカゴの日本人家庭のとまどい
6月初旬,わが家にもついにインフルエンザが到来しました。中2の息子と2歳の娘が相次いで,高熱と咳を発症したのです。現地校が年度末を終え,夏休みに入ってすぐの出来事でした。クリニックでA型インフルエンザと診断され,とたんに脳裏に浮かんだのは,わが子の病状ではなく,シカゴ在住の日本人家庭への懸念でした。在米日本人の家庭の多くは,夏休みを日本で過ごすからです。息子の日本人の友人の多くも帰国すると聞いていました。「もし,あの子たちが感染していたら,成田空港の手厚い検疫検査で足止めされるかもしれない」と。
新型インフルエンザの患者数が日本よりも格段に多いシカゴでは,新型インフルエンザはさほど話題にならず,学校においても,手洗いとうがいの指導はあっても,街でマスクをして歩く人はまず見当たりません。病院でも,新型か従来型かの確定診断は特にせず,「水分を摂るように」という指導だけで,患者が望めば抗ウイルス剤の処方を受けられるといった程度。先日,“シカゴで日本人患者第1号”というニュースが日本で報道された際も,その報道の勢いにとまどったのは,シカゴ在住の日本人たちでした。日本のテレビ局の取材に対し,「不安です」と答えることを促された友人は,「まるで,パニックに陥っていることを期待されているかのように感じた」と漏らしていました。
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