特集 学習支援で学生を変える―取り組みの必要性と効果
「学習支援」の教科書を作る―『知へのステップ』制作とその効果
上村 和美
1,2
1関西国際大学
2高等教育研究開発センター
pp.579-583
発行日 2009年7月25日
Published Date 2009/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101235
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
『知へのステップ』とは何か?
「大学生にこのようなことまで教えなければならないのか」「大学生になったのだから,このようなことは自分で身に付けるべきではないのか」これらの意見は『知へのステップ─大学生からのスタディ・スキルズ』(以下,『知へのステップ』図1)の初版を刊行した2002年当時によく耳にした意見である。
『知へのステップ』の初版が刊行されてから7年が過ぎた。発行部数は現在までに,初版が13刷・4万3000部,2006年に刊行された改訂版が5万1000部,初版・改訂版の累計は9万4000部となっている。出版当初に耳にしていた意見も,今ではほとんど聞かれなくなった。確実に大学を取り巻く状況は変化しているのである。
『知へのステップ』は,もともとは関西国際大学(以下,本学)の「学習技術」という必修科目の共通テキストという位置づけであったが,2009年春には195の大学・専門学校等で採用されている。このなかには,もちろん医療系・看護系の大学や専門学校も含まれている。『知へのステップ』は本学のために制作したものではあったが,同時に「どのような学部・学科の学生であっても必要なスキルを身に付けるためのテキスト」というコンセプトで制作したものである。したがって,この採用の結果を見る限りでは,当初の目標が果たせたといってもよいのではないだろうか。
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.