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はじめに
従来,予備校では看護師国家試験(以下,国試)対策として,既卒や現役学生対象に通学,夏期・冬期等の短期講座によって合格のための知識伝達のマス授業を展開してきた。学習意欲の高い学生が,自分の(または保護者の)お金と時間を使い,自発的に受講し,「わかりやすい」授業さえすれば,それを自分のものとし,身につけることが期待されていた。概ね予備校講師による授業は「わかりやすい」と満足度が高く,東京アカデミーだけでも年間のべ1万人以上が受講している。
しかし,「わかりやすい」「授業に満足した」とする学生が,復習テストや模試の結果をみると授業で取り上げた内容を身につけていないことがある。学習の最終目的である「得た知識を使うことができる」ことにはなっていないのである。そして「授業で分かった,と思ってもすぐ忘れてしまう」「勉強・復習の方法がわからない」「わかっているか,わかっていないかがわからない」などの声がある。加えて,学校の先生方からも,学生に対する同じ意見を聞く。
「試験合格のためのポイントをしぼった知識の分かりやすい伝達」が予備校講師に求められていることであろうが,こちらが伝えたつもりの,その知識を使えていない学生をみていると,これでは国試合格が難しい,また合格したとしても国家試験合格者に期待される「専門職として継続的な学習をする力」が備わっていないのではないかと危惧を覚えるのである。
そこで,知識伝達にとどまらず学習する力を支援するような内容を実施している。また,昨年度より教員対象に,「ボーダライン以下の学生への国試対策」というテーマでセミナーを開催し,その中で学習支援法にも触れている。これらの実践を本稿で紹介することで,学校の先生方の学習支援方法のヒントになればと考える。
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